title.gif
選手たちは変わったのか…。
001.jpg
グランド練習を見守るコーチ陣
あの敗戦から2週間。選手たちはどのように練習に取り組んできたのか。それが試される時が来たのである。もう負けたくない、もうあんな惨めな思いはしたくない。そんな選手達の気持ちはフィールドで爆発するのだろうか。
対する札大CUBSも春の成績は2部の北医には勝利しているものの、1部の北大、樽商に敗戦を喫するなど、状態はあまり良くない。秋のためにもお互いに勝っておきたいのは事実。
今後のMAD WOLVESを占うのにも大事なこの1戦。グランド練習が始まると、ピリピリとした空気がフィールドの中を包んだ。お互い、練習に集中しているとはいえ、気持ちは前面に相手チームへ向いている。グランド練習終了の合図とともに1度ベンチに下がってゆく両チーム。勝利に飢えた狼は荒ぶる気持ちを抑え、サイドラインで静かに牙を研いだ。 005.jpg
試合直前のMTG
071.jpg
グラウンドを見守る観客
今回の試合会場は秋のリーグ戦でも度々使用される、「札幌大学フットボールグランド」。この日は日中30℃を超える真夏日、穏やかな風が吹くものの、じりじりと照りつける太陽は少しずつ選手たちの体力を削ってゆく。ビジター側ベンチの後方には観客席の代わりとなる土手があるのだが、この日の観客は少なく、盛り上がりにも欠ける。少し物寂しい試合開始となった。
両チームがサイドラインに並び、向かい合った。セレモニーに向かう4人。写真をみて解る方もいると思うが、今年からビジターの試合に使用されていた黒のパンツは無くなり、ホーム用の白のパンツ着用になっている。そして白のユニフォームの背中には「WOLVES」の文字が刻まれた。このコスチュームでの試合はこれが初めてとなる。 017.jpg
セレモニーの様子。
左から古家、舘合、小野田、安藤が並ぶ
141.jpg
新人キッカーの澤田
セレモニーが終わり、フィールド中央にて全員でハドルをかけるMAD WOLVES。対してハドルもかけずに早々とフィールドに11人がポジションに散った札大。珍しい光景に観客席は少しざわついた。
道工のキックで試合開始。キックを蹴るのはこれが2試合目となる新人 澤田。試合に慣れてきたのかナイスキックでチームを盛り上げる。
前回の試合も奮闘した道工ディフェンス(以降DEF)。札大オフェンス(以降OFF)をあっさり退かせる。迎えた道工OFFの1stシリーズ。自チームの反則等で1stダウンを更新できなかった道工は自陣20ydからのパントを迎えてしまう。

突然の出来事だった。#55 山田の放ったパントスナップはパンター#9 垂水の頭上を大きく越えるスナップミス。ボールはそのままエンドラインを越えてしまい、セーフティーとなってしまう。

道工0−2札大 今回の試合も自分たちのミスからの失点。嫌なムードが立ち込める。

道工のキックでリスタート、勢いに乗りたい札大OFFはランを中心に攻撃を組むが道工DEFはゲインを許さない。結局あっさりパントを蹴った札大だが、ここでも不必要な反則が絡み、道工は自陣7ydからのOFFを強いられる。
今シーズンから道工OFFで頻繁に使用されている体型がギャングボーン。この体型からのオプション攻撃でTB#84高野名が右オープンサイドを駆け上がり1stダウンを獲得。
055.jpg
道工大オフェンス
052.jpg
ファインプレーを連発したDL古家
しかし、ランは出るのだがパスが全く決まらないのが今年のチームの悪いところ。せっかくの1stダウン獲得もその後続かず。流れをつかめずパントを迎えてしまう道工。
このパントでも#55 山田がスナップミス。#9垂水がボールを拾うも蹴ることは出来ない。2連続のパントでのミスで道工は自陣10ydからのDEFを迎えてしまう。

しかし、ここでも好調道工DEFは札大OFFに牙をむく。
DL#39 古家のロスタックル等もあり、相手に1ydのゲインも許さない。4thダウンでフィールドゴールを狙ってきた札大、ここでも古家がやってくれる。
このフィールドゴールをがっちりとブロックした古家。この活躍で札大に得点を許さない。
ゲームは2Qへ入っても流れは変わらない。ランプレイに反比例してパスが決まらない道工。波に乗れない道工OFFとは裏腹に、疲労の溜まりだした道工DL陣の隙を突き、インサイドのランプレイを出し始める札大OFF。
この嫌なムードを打開したのはLB#22立花だった。強烈なオープンラッシュでQBに襲いかかり、ハードタックルでパスを阻止する。QBサックにこそならなかったものの、このプレイで少しずつ流れは道工にきていた。
迎えた直後の道工 自陣40ydからのOFF、この試合、初めてRBで出場したキッカー兼任の新人RB 澤田へのハンドオフ。澤田、これを落球してしまう。転がるボールをリカバーしたのは札大DL。そのままエンドゾーンに駆け込まれてしまったのだ。

キックもきまり 道工0−9札大 道工はまたしてもつまらないミスで失点を許してしまう。
この後、試合は両チームのDEFの我慢比べ。お互いに1stダウンの更新を許さない。この息詰まるゲーム展開に波が立った。この日WRに入っていた#7 小野田へのロングパスが決まり、敵陣20yd付近までボールを進める。このまま勢いに乗りたい道工。QB#9 垂水はOP攻撃を試みる。ピッチをしようとしたその瞬間、タックルされた垂水、転がるボールをリカバーしたのは札大。先ほどと同じような光景にベンチ、観客席からはため息が漏れる。
しかし中央に集まり、話し合う審判。主審はダウンが先と宣告したのだ。
助かったことに変わりはないものの、このゴタゴタで微妙に流れが止まり始めた道工OFF。その後がかみ合わず4thダウン残り15ydを迎えてしまう。時間は残り2分を切ろうとしている。
道工、ギャンブルを敢行。#12 伊藤へ投げられたパスは成功するも1stダウンへは後一歩届かず。札大に攻撃権を移してしまう。
112.jpg
後半開始のハドル
この後の札大OFFも、好調道工DEFに何もさせてもらえずパント。道工は敵陣40ydからの攻撃が始まるが残り時間は1分。ランプレイで敵陣20yd付近まで攻め込んだ道工は、ここでタイムアウトを要求。このときすでに残り時間は10秒を切っていた。次がラストプレイになるだろう。
エンドゾーンに向かい、#7小野田へ投げられたパスは相手CBの胸の中へ。インターセプトである。結局ここで前半終了。

道工0−9札大 波に乗れない道工OFF。勝機はあるのだろうか。

セレモニーも終わり、後半が始まった。やるしかないんだ。選手たちはもう一度ひとつになるためにハドルで自分たちを盛り上げる。「勝つ」それだけに集中して選手たちは青空に向かい、人差し指を高々と上げた。
札大OFFをあっさりと引き下げた道工DEF、迎えた後半最初の道工OFF。RB#6 安藤へのブラストだった。まさかのハンドオフのミスでファンブル。リカバーしたのは札大。オフェンスのミスからピンチを迎えてしまうのが今年のMAD WOLVESの最大の難点。ここでもあっさり相手に攻撃権を返してしまう。 114.jpg
垂水、安藤のハンドオフミス
道工OFFの不甲斐なさに奮起しているのはDEF。ここも攻守で耐え忍び、静かにOFFの爆発を待ちわびる。この4thダウン、札大はフィールドゴールを試みるがボールはポール手前で失速。
フィールドゴール失敗で 道工0−9札大 は変わらず。

以前無得点の道工OFF。ここからの巻き返しに期待したいところだが、ここもランプレイが機能せず全く進むことが出来ない。迎えた4thダウンのパント。ここでも#55山田のスナップミスが出てしまう。今日、3度目となるスナップミスは#9 垂水の頭上を大きく超えてしまう。垂水、リカバーするもタックルされ、なんと自陣5ydからのディフェンスを強いられてしまうのである。
「ゴールラインDEF、ピンチなのはわかっているんですが…なんか楽しかったです。」そう試合後に語ったのはLBパートリーダーの#3 佐藤。このシチュエーションで奮起したのは道工DEFだった。相手のランプレイを最小限に抑える道工DEF。
迎えた4thダウン。残りは1ydをきっている。ここで札大タイムアウト。
札大のフォーメーションはプロI。勝負に出てきたのである。
132.jpg
相手RBに襲い掛かる#3 佐藤
緊張感がフィールド全体を包む。プレーが始まった。砂埃舞い上がるフィールドに鈍い音が響いた後、ゴール前からは歓声と同時に雄叫びが響いた。
止めたのはDB#12 伊藤。若手の好プレーにより、相手に追加点を許さない。
044.jpg
好守を連発の道工大DEF
159.jpg
#7小野田のOP攻撃
この流れに乗りたい道工OFF。しかし不調OFFは全くプレーがかみ合わず、ここでも1stダウンが奪えない。嫌なムードで迎えた4thダウンのパント。
今日、4回目の#55 山田のスナップミスはまたしても#9 垂水の頭上を超え、エンドゾーンを越えた。
この試合、スナップミスからの2度目のセーフティーで 道工0−11札大

ここから一時、試合は両チーム膠着状態。お互いにOFFがうまく機能しない。

3Qから道工OFF、これまでWRとして出していた教育実習明けで調子の戻らない#7小野田を急遽QBとして起用。OP攻撃で流れはつかみ出すものの、やはり自分たちのミスから相手陣地までボールを運ぶ事すらも出来ない。
この後、相手のパントブロックもあり、札大に追加点のチャンスを与えるが、道工ここもDEFの攻守と、後半からLBに入っていた#39古家のインターセプト等で流れを強引に引き戻す。が、その直後のシリーズで、札大CBに痛恨のインターセプトを喫してしまう。

この後DB#12 伊藤のインターセプト、LB#22 立花のQBサック等の若手の奮起で札大OFFの1stダウン更新をなんと2回に抑えた道工DEFに対し、結局最後まで波に乗れず1stダウンの更新も7回と全く見せ場の無かった道工OFF。

道工0−11札大、完封負けである。
170.jpg
道工DEFが札大OFFに襲い掛かる
うつむき、またあるものは足を引きずりベンチを後にする選手たち。負けたチームの持つあの独特の重苦しいムードの傍ら、各コーチ、そして監督が深刻そうに話し合うその光景は、見ていて何とも痛々しかった。

「前回と全く変わっていないのが一番いけない、ひとつのミスで次々とミスを重ねてしまうようなメンタル面での弱さを今回も露呈してしまった。秋の事なんてまだまだ言えるレベルではないです。」
試合後、そう話したのは鈴木HC

「少ないラインメン、サイドラインに帰れないのなら自分たちでアジャストしていかなきゃ。もう少し自分たちで考えてプレーしなきゃね。」
相馬LCは今回、全く良いとこ無かったライン陣を厳しく見直す。

「数字だけ見たら申し分ないが、実際は様々なミスが要所で見られた。課題は山積み。」
#16 DEFリーダーの舘合は、好調そうに見えたDEF陣にもまだまだ納得はしていない。

「流れを変えられないのはチームがまとまっていない証拠。一から出直す必要がある。不甲斐ないコーチ、上級生のために1年生の出場機会が限られてしまったのも非常に残念。1年生には非常に申し訳ないことをした。すべてを見直すつもり。」
と言い残した監督高幡は足早にグランドを去った。
試合後のハドルは30分にも及んだ。
「俺達はここで変わらないと本当に秋は無いぞ。出直しだ。」
静まる円陣の中、力強く切り出したのは主将の#6 安藤。全くその通りである。

終ってみれば春のオープン戦、2敗で幕を閉じた道工。このチームが約9週間後には【北海道制覇】を掲げて戦うチームなのだろうか。この2敗で何かを掴んだのだろうか。
208.jpg
試合後のハドル
気付けば穏やかな風は、札大グランドの周りを囲うポプラの木の綿毛をグランドに降らせている。この光景、毎年雪の降る時期に行われる本当の最終戦、通称「入れ替え戦」にダブって見えたのは僕だけなのだろうか。
沈みかけている君たちの足を、「絶望」という相棒がさらに底のほうへと引っ張りこんでいるだろう。「妥協」という相棒が新しい逃げ道を作り、手招きしているのだろう。
そんな時、下ばかり向かずに上を見上げてみてほしい。
「ここから頑張ろう、ここからはじめよう。」と、手を差し伸べるもう一人の自分がいるはずである。

やるのは君たち自身なのだ。立ち上がるのは君たち自身なのだ。

もう負ける道工は見たくない。秋のリーグ、君たちの躍進を心から期待している。 (高橋優和)
return.gif