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準備は万全か、今年のWOLVESはどうなのか、優勝は出来るのか…。
MAD WOLVESという一つのチームで戦い、涙をのんで引退していった先輩方の希望・憂いを背負い、今年もフィールドに姿を現したのは‘04 MAD WOLVES。今年はどのような物語をフィールドに、そして応援してくださっている観客の皆様に残していくのだろうか。‘04 MAD WOLVES、秋のリーグ初戦が幕を開けようとしていた。

試合会場はお馴染み、円山競技場。競技場の周りを囲う深緑の木々を清々しいまでの秋晴れが覆う。気温は約25℃前後、心地良い風がフィールドを駆け抜ける、まさにアメフト日和となった一日だった。

練習開始 5分前、ロッカールームに集まる選手達。監督高幡の話に耳を傾ける。
「よし、行こう!」
監督高幡の掛け声と共に、一斉に競技場に飛び出していく選手たち、気合は充分だ。

グランド練習も終わり、各キャプテンの最終確認も終ったころ、審判から「整列してください。」との合図。グランドに向かい合うように並ぶ両チーム。中央には安藤(#6)、小野田(#7)、舘合(#16)、そして古家(#39)が並ぶ。

セレモニーが終わり、フィールド中央に安藤を中心に集まり、選手のみんなが一斉に空を指差した。

2004年、MAD WOLVESのリーグ戦がついに幕を開けたのだ。


小樽商科大学(以降 樽商)のキック、道工のリターンでの試合開始、高野名(#84)のリターンで自陣30yd付近までボールを進める。
気になるのが道工オフェンス(以降OFF)。指令塔QB小野田(#7)は相手ディフェンス(以降DEF)を確かめるようにランを 3つ。1stダウンを奪えずにあっさりパントを蹴ってしまう。道工OFF、静かな立ち上がりとなった。

続いて迎えた樽商の攻撃、道工DEFはタックルミスなどで 1stダウンを奪われるものの、その後、落ち着きを取り戻した道工DEFはその後の樽商の攻撃をあっさり退かせる。

しかしこのタックルミス。チームに不穏な空気が流れたのは確かではあった。

道工の攻撃、4thダウン残り 1ydという局面を迎えることになる。ここで道工OFFはギャンブルをチョイス。早速勝負をかけてくる道工OFFに樽商はたまらずタイムアウトを取ることになる。

ここで小野田の選んだプレーはQBスニーク。プレーは成功、1stダウンを更新することになる。
波に乗りたい道工OFF。1stダウンの攻撃で小野田はWR垂水(#9)へのパスをチョイス、そのときだった。相手CBがカット、弾いたボールを相手LBがキャッチしたのだ。
突然のインターセプトで流れは樽商に向きかけた。と、思われた。

こういう状況にもかかわらず、落ち着いていた道工DEFは樽商OFFを 3回で簡単に退かせる。たまらずパントを蹴る樽商。

何とも無いボールだった。リターナーの伊藤(#12)、高野名(#84)が交錯、キックのボールをファンブルしてしまうのである。

リカバーは樽商。これで結果、樽商に流れを引き戻すことになってしまう。
流れに乗った樽商は手がつけられない。3rdダウンまでこぎつけても何とも無いQBスクランブルで 1stダウンを更新される道工DEF。ベンチには嫌な空気が流れる。

この流れを引き戻したのはOL、DL両面で奮闘する 2年生ラインの佐藤(#70)。
それはあっという間の出来事だった。プレーが始まると同時にスクリメージラインから抜け出た佐藤はそのままドロップバックをするQBに襲い掛かった。
佐藤自身初となるQBサック。盛り上がる道工はこれで息を吹き返した。

ここから両チーム、膠着状態に入ってしまう。お互いに攻めあぐね、流れをつかめずにいる時間が続いてしまう。

ここで両チームをサポートし続けたのがそのチームのパンターである。
お互い一歩も譲らないDEFに自チームのオフェンスの爆発を信じ、蹴り続けるパンター。特に垂水(#9)のパントには助けられた。
ナイスキックの連発で、常に良いフィールドポジションでDEFを迎えられる道工DEF。我慢を続けるパンター垂水に応えたい気持ちはみんな同じだった。

ゲームは第2Q中盤。依然、平行線のゲームに突然、波がたち始めるのである。

自陣10yd付近から始まった道工OFF。パスが決まり 1stダウンを更新。続く 3rdダウンの攻撃だった。
QB小野田はブラストをチョイス、キャリアーはRB高野名(#84)。1stダウンの更新線を越えた辺りだった。タックルされた高野名の腕からボールはこぼれ落ちたのである。

リカバーは樽商、ここでも樽商にみすみすボールを渡してしまうことになるのである。

敵陣20ydからの攻撃を始める樽商OFF、ランプレイで簡単に 1stダウンを更新してしまう。
ここで道工DEF、たまらずタイムアウトを要求、落ち着きを取り戻そうとする道工DEFだが波に乗る樽商OFFを止めることは出来なかった。

QBの中央突破でタッチダウン。キックも決まり 0 - 7。先制は樽商。道工ベンチは嫌な空気で包まれた。

樽商のキックはタッチバック。自陣20ydからの道工OFF、残り時間は 4分をきっていた。
せめて 1本でも返しておきたい道工はここから粘りを見せる。

短いパスが決まりだす。それと同時にランが出だした道工OFF。相手の反則等もあり、敵陣30yd付近までボールを進める。残り時間はもうわずか。

タッチダウンを狙ったパスは失敗。ここで前半が終了してしまう。

道工 0 - 7 樽商   樽商のリードで後半を迎えてしまうことになる。

波に乗り切れずに終った前半。この流れを打開し、逆転する術はあるのだろうか。残る時間は24分、苦しい後半戦が始まろうとしていた。


最初にも触れたとおり、素晴らしい天候に恵まれたこの日の試合、スポッターのいない道工スポッター席は道工の応援席に早変わり。この日も沢山のOB、父母の方々が応援に駆けつけてくれました。本当にありがとうございました。一部ではありますが写真を撮りましたので掲載いたします。

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さて、試合は後半戦。道工のキックで試合再開、キッカーは春からキックを任されている新人澤田(#29)慣れた手つきならぬ、慣れた「足つき」でのびのびと蹴り上げるボールは美しい弧を描いて飛んでいく。

後半、両オフェンス 1stシリーズは簡単にパントを蹴ってしまう。迎えた樽商の攻撃、自陣20ydからの攻撃。簡単に 1stダウンを奪われた道工DEF、直後の攻撃だった。樽商はDRAWプレーを選択、何とも無いこの攻撃を道工DEFは 2回、3回とタックルミスを繰り返してしまう。

気付けば約70ydの独走タッチダウン。キックも成功。 0 - 14 道工、ここで痛い、痛い追加点を許してしまう。

樽商のキックで試合再開、自陣20yd付近からの道工OFF。しかし自チームの反則、ロスタックル等もあり全く前進できないどころか、エンドゾーンを背負っての4thダウンを迎えてしまう。スナッパーは負傷退場した山田(#55)に代わり、新人今滝(#57)。プレッシャーのかかるこの局面にもかかわらず、今滝は落ち着いてスナップ。新人の頑張りに応えるかのように、垂水はここでも素晴らしいパントキックを見せてくれた。
二人の活躍もあり敵陣30yd付近までフィールドポジションを回復した道工は、ピンチを切り抜けた、かのように思われた。

勢いの止まらない樽商はここから驚異的なドライブを見せる。
道工DEFのミスから 1stダウンを更新してからは、疲れの見え始めた道工DEFをランプレイでどんどん崩していく。あっという間にボールは道工エンドゾーンの目の前へ。DB舘合(#16)はたまらずタイムアウト、ゴールラインDEFを敷いて樽商OFFを迎える。

しかし樽商OFFの勢いは止まらない、いや、止めれなかった。

簡単にランプレイでタッチダウンを許してしまう。 0 - 21 道工はもはや打つ手は無いのだろうか。

直後の道工OFFは 1stダウンを奪うものの、相手DLのQBサック等もあり、樽商に攻撃権を譲ってしまうことになる。試合は第4Qに入っていた。
樽商の攻撃、もう無駄に相手に攻撃の時間を与えたくない道工。しかし 3rdダウン残り 1ydの局面を迎えることになる。
ここで奮起したのがDL 蝦名(#69)。相手のダイブをロスタックルで仕留める好プレーにより、道工はピンチを切り抜ける。

このプレー、道工は流れをつかむきっかけとなった。

自陣40ydから迎えた道工の攻撃、残り時間は 9分。
RB 高野名のランプレイで 1stダウンを獲得したのを皮切りに、伊藤(#12)・舘合(#16)・そして安藤(#6)へのパスが立て続けに決まり、どんどん前進していく道工OFF。パスに意識が傾きだした樽商DEFをあざ笑うかのように高野名がランプレイで 1stダウンを更新、ここで垂水がQBに、小野田がWRに交代する。

敵陣15yd付近で迎えた 3rdダウン、残り10yd。QB 垂水から小野田へのパスが決まり 4thダウン残り 4yd、ギャンブルを指示するベンチ。
垂水が選択したのはRB 高野名のオープンへのランだった。高野名は期待に応えるように右オープンサイドを駆け上がる。

道工、ここで待望のタッチダウン。 7 - 21 残り時間は 5分。

道工のキック、オンサイドキック用にキックティーを置くキッカー澤田。これに気付きオンサイドリターンのシフトを敷く樽商。両ベンチが固唾を飲んで見守る。

一瞬の出来事だった。主審の笛と同時にボールを高々と持ち上げたのは高野名。オンサイドキック成功で沸き上がる道工、50yd付近からの攻撃をもぎ取る。

この勢いに乗りたい道工は、パスを立て続けに決めて敵陣に攻め込むも、パスが一本止められると流れは消え、あっさり 4thダウンを迎えてしまう。
ギャンブルはスクリーンパス、失敗でターンオーバー。残り時間は 2分を切っていた。

この後、もう一度道工にOFFがまわってくるものの、残り時間を樽商OFFに使われた道工は攻撃の時間は残されていなかった。

道工 7 - 21 樽商  道工、初戦を勝利で飾ることは出来なかった。

試合後のハドル、沈む選手たちに主将 安藤はこう切り出した。
「この敗戦を忘れるな。練習中、つらい思い、苦しい思いをしたときこそ今日のことを思い出そう。今日から、今日からまた戦い始めよう。」
こみ上げる感情に唇を噛み締め、ゆっくり、そして力強く安藤は語った。

試合後、HC鈴木は
「あれでは春と全く変わっていない。選手、そして僕たちも春の敗戦を忘れていたのかもしれない。もう一度やりなおしですよ。」と、言葉少なめにフィールドを後にした。

「コールミスです。DEFが良いリズムを作れなかったのは僕の責任です。」
と反省仕切りはDEFコーチ相馬。
「しかし一番問題なのは選手たち個々の気持ちなのかもしれない。次の北星戦まで 3週間、選手たちのモチベーションがどれだけ変われるかがキーになっていくと思います。」
と斬り返した。

「小樽商科大学は予想していた以上に良いチームだった。動かない結果にうなだれるより 1秒でも早く行動を起こして次に向かいたいと思う。」
監督高幡は沈む選手たちへのメッセージかのようにコメントを残してくれた。

試合後、主将 安藤に試合を振り返ってもらった。
「試合を振り返ってみると、樽商より道工の方が気持ちやボールに対する執着心が劣っていたのだと思います。結果が全てです。初戦を落としたということは非常に厳しい状況になったということですが、これからの 4戦に向け、チームを立て直していきます。」
思いつめた表情で一言一言、語る安藤は見ていて痛々しかった。


あの敗戦から 1週間が過ぎた。いつもと変わらぬ表情で練習に向かう選手たち。モチベーションはどうなのだろうか。ふと、心配になる。
「この敗戦を忘れるな。」安藤のあの言葉を忘れてはいないだろうか。

男としてやらなければならないときがある、そしてその時を迎えている男たちがいる。

今の君たちはまさにその時なのではないだろうか。
もう負けたくない、もうあんな思いをしたくない、そう思っているのはOB、父母の皆様も同じだと思う。だからこそ何度も言う、フィールドで戦うのは選手たちなのだ。
北星戦まで残り 2週間を切った。

次戦、笑顔でタイムアップをむかえる道工の選手たちの姿を心から期待している。

(高橋優和)
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