 |
「崖っぷち」
現在の道工大にはぴったりのフレーズなのかもしれない。
春から「ALL FOR VICTORY」をスローガンに、そして「北海道王座」を目標に掲げ、練習に取り組んできた、主将 安藤率いる‘04 MAD WOLVES。開幕戦の小樽商科大学に、7−21での敗戦を喫し、北海道王座に輝くにはもう一つも星を落とせない状況に置かれたのは事実。この3週間でのチームの建て直しは出来たのか。選手たちの意識は変わり、新たなMAD WOLVESを魅せてくれるのだろうか。どちらにせよ、今後のチームを占う試合になることだけは間違いない。大事な一戦となった。 |
|
 |
気になる今週の対戦校は『北星学園大学PIRATES(以降 北星)』。
パスの精度が高く、一発の怖さがあるため、勢いに乗せてしまうと厄介なチームである。前回の試合では、ロングのパスを中心に攻めたてた北星が、札幌大学CUBSに35−0での完封勝ちを収めており、今、チーム的に勢いに乗っていることは間違いないといえよう。
相手のパスを封じることが勝利へのカギとなることが予想された試合だった。 |
|
 |
セレモニーでのコイントスに勝ったのは北星、北星は前半・キックリターンをチョイス。道工のキックで試合開始となった。
キッカーは 澤田(#29) 。ナイスキックで相手にリターンを許さない。
北星陣28yd付近から始まった北星OFF。道工DEFは立て続けにTEへのパス、ブラストを決められ、簡単に1stダウンを奪われてしまう。ズルズルとランをだらしなく出され続けて、嫌な空気で迎えた3rdダウン。この流れを変えたのはDL 尾越(#71)だった。オプションに向かったQBに襲いかかりロスタックル。このピンチを乗り切る。
道工陣11ydからの道工OFF。ファーストプレイはオプション。QB 小野田(#7)がオープンを駆け上がり、20ydのゲインを獲得、その後テンポ良くRB 高野名 (#84)のラン、安藤(#6)のパスが決まり、あっという間に北星陣34ydまで攻め込んだ道工OFF。しかしここでOL 佐藤(#70)の手痛いパーソナルファウルがあり、攻めきることの出来なかった道工OFF。4thダウン15ydとなってしまう。
ここで道工ベンチが先に動き出す。ここでパントのスペシャルプレーを選択。立花(#22)が左オープンサイドを駆け上がるも、アサイメントミスで走路がつぶれてしまい相手にタックルされ、1stダウンの更新は出来なかった。ここで北星に攻撃を譲ることになる、ターンオーバーである。
北星陣35yd付近から始まった北星OFF。オープンのランとQBスニークで1stダウンを更新されてしまう、そしてこの時、DB 伊藤(#12)のレイトヒットの反則があり、道工陣35yd付近まで攻め込まれてしまう。その後もパスを決められ道工陣23ydまで攻め込まれ、迎えた3rdダウン残り5ydだった。北星OFF、TEへのパスが決まる。ここでDB 伊藤(#12)が痛恨のタックルミス。TEはそのままエンドゾーンへ。
道工 0−7 北星 今試合も先制点を許してしまう。
このままいつもの流れでいってしまうのだろうか。沈む道工。ここで奮起したのがキッキングであった。
「今試合のキッキング、リターンタッチダウンを獲ることが目標でした。明確な目標をつくることで意識を高く持たせたかったんです。」
と試合後に話したのはキッキングキャプテンのLB 古家(#39)。タッチダウンを獲られた直後のキックリターンでビックプレーが生まれる。リターナー高野名(#84)が中央突破、そのまま独走状態でエンドゾーンに駆け込んだ。
高野名(#84)の92ydリターンタッチダウン。ベンチ、そして観客席が沸いた。
キックも決まり、 道工 7−7 北星 ここで道工、試合を振り出しに戻す。
一気に湧き上がる道工ベンチ、このまま流れは道工に傾くのか、と思われた。 |
|
 |
道工のキック後の北星OFF。いきなりLB 古家(#39)のQBサックが決まる。さらに勢いに乗る道工。しかし迎えた3rdダウンで1stダウンへの更新線ギリギリのところへパスが決まってしまう。ここで試合は第2Qへ。直後の1stダウンの攻撃でもパスを通され道工陣30yd付近まで攻め込まれてしまう。
ここでも奮起したのはLB 古家(#39)。相手のオープンへのランプレイをロスタックルに仕留める。沈むディフェンスを盛り上げる古家の頑張りに感化されるかのように、今度はCBに入っていた高野名(#84)がチームを救う。
道工エンドゾーンへ深々と投げられたパス。ボールは相手レシーバーの手に、と思われた瞬間、高野名がボールをカット。パスを通させずタッチダウンを阻止したのだ。
4thダウンに追い込まれた北星OFFここでパントを選択。道工は自陣12ydからの攻撃を強いられる。
ランプレイで簡単に1stダウンを更新した道工OFF。しかしこの後が続かないのが今年の道工OFF。ここでもオプションプレイでピッチを受けたRB 安藤(#6)がロスタックルを受ける。翌3rdダウンでのスクリーンパスは相手DLに読まれており、これもロスタックル。パント時の反則などもあり、あまりフィールドを回復できずに北星OFFを迎えてしまう。
北星陣48ydからの北星OFF、ここで道工DEFは北星OFFを3回の攻撃で封じる。しかし迎えた道工OFFも、フォルススタート等の反則があり、まともに攻撃が出来ず、相手に攻撃権を譲ることに。
嫌な流れ、残り時間は3分を切っている。もう1本獲っておきたい道工はこれ以上北星OFFに時間を使わせたくない。
ここで活躍したのが3年生DLコンビの蝦名(#69)と尾越(#71)だった。尾越が北星OFFのオプションプレイを、蝦名がドロープレイをロスタックルで仕留め、攻撃権を強引に道工に引き戻す。
迎えた自陣40ydからの道工OFF、3rdダウンまで持ち込まれるも、QB 小野田(#7)の中央突破で1stダウンを更新する。残り時間は1分。
パスで北星DEFを崩そうとするも、3rdダウンの攻撃で相手DLにQBサックを受けてしまう。ここで前半、事実上の終了。パントを蹴り、残り時間は4秒。北星OFFもランプレイを1本走らせて第2Q終了。
道工 7−7 北星 前半戦、引き分けで折り返すことになる。
前半戦、同点で折り返したと言えど、獲った1本はキッキングの1本のみ。以前眠りから覚めない道工OFF。後半爆発はするのだろうか。 |
|
 |
週末札幌を覆い、雨を降らせた雨雲は日曜日には姿を消してきれいな秋晴れの空をのぞかせていた円山競技場。気温は20度前後とやや低めだったが、陽の光がフィールドを包み気温以上に暖かい一日となった。この日の道工戦は2試合目ということもあり、会場にはいつにも増して沢山の父母、OB、そして選手の友人の皆様が試合にかけつけてくれました。本当にありがとうございました。
何度もお伝えいたしますが、道工のスポッター席(観客席中央のスズランテープで囲われている席)は道工の応援席に早代わり。赤いメガホンが目印です。大勢で試合を観戦するともっともっと試合が楽しくご覧いただけると思います。気軽に足を踏み入れてみてください。試合に見に来ていただいた皆様の写真を撮影させていただきました。ここに写真を掲載いたします。
|
|
 |
試合は後半戦、第3Qに入る。北星のキック、オンサイドキックフェイクのキックで、タイミングを外された道工はまともにリターンができなかった。
自陣30yd付近からの道工OFF。後半戦もオプションが全く機能しない。QB 小野田(#7)がロスタックルを受けてしまう。後半戦の1stシリーズも3回の攻撃であっさり終えてしまうことになる。
北星陣45yd付近から始まった北星OFF、ここから少しずつ、嫌な流れが目立ちだし、ゲームに波を立たせ始めていた。
フロントがランをいくら止めても、3rdダウンでパスを通され1stダウンを奪われてしまう。
相手がロンリーセンターからのQBスニークというサプライズプレーを行ったときも、落ち着いてDL 尾越(#71)がタックルをしてゲインを許さないというファインプレーもあったものの、ここでも迎えた3rdダウンでロングのパスを通されてしまい、気付けば道工陣14ydまでボールを進められてしまう。
ここで道工DEFにチャンスが訪れたのだ。
北星OFFのパス、エンドゾーン付近でWRが取ろうとしたボールは大きく弾かれCB 畠山(#25)のところへ。しかし畠山、これをなぜか見送ってしまったのだ。インターセプトのチャンスをフイにした道工に対し、この後きっちり北星はフィールドゴールを決めたのである。ついに膠着したゲーム展開、先に波を立てたのは北星だった。
道工 7−10 北星 何とも嫌な失点をこの時間帯で喫してしまう。
すぐさま追いつき、逆転していきたい道工、気持ちとは裏腹に翌キックリターンは相手のスクイーヴキックに惑わされ思うようにリターンが出来ない。
ここからQBに入ったのがWRの垂水(#9)、しかしこのシリーズはパス、ラン共に目立ったゲインはあげられずパントを蹴ってしまう。
この後、お互いにDEFが踏ん張り、ゲインを許さない。試合は終盤、第4Qへと突入していくのである。 |
|
 |
第4Qになっても試合の流れは変わらない。ランを止めてもパスで1stダウンを更新されてしまう。ここでも相手WRの弾いたボールをLB 佐藤(#3)がキャッチミスをするなど流れを道工に引き込めず、北星OFFにズルズルとゲインを許し時間を使わせてしまう。
CB 畠山(#25)のパスインターフェアの反則も絡み、道工OFFが攻撃を向かえたのは道工陣10yd付近、残り8分を切っていた。
ここで再びQBには小野田(#7)が入る。1stダウンではまたオプションでロスはするものの、QB 小野田(#7)のQBスクランブル、RB 澤田(#29)の中央突破等で1stダウンを更新する。次の攻撃、ランプレイでゲインするものの1stダウンの更新線までには達しなかった。迎えた4thダウン残り4yd。ベンチはここでパントフェイクのパスプレーを敢行。パンター 垂水(#9)の放ったパスは高野名(#84)の手の中へ。起死回生のギャンブル成功。直後の攻撃でも1stダウンを更新、北星、ここでたまらずタイムアウトを要求。流れは一気に道工へ傾いた。と思われた。
タイムアウト明けの道工の北星陣45yd付近からの攻撃。1stダウンの攻撃で相手DLにQBサックを見舞われてしまう。
どんなに良いドライブを見せてもどこかで大きなミスを出してしまうOFF。そこで流れが途絶えてしまうというところが今年の道工OFFの最大の難点なのかもしれない。
やはりこのシリーズもこの後が全く続かず4thダウン13ydを迎えてしまい、ギャンブルも失敗。この時点で時間は残り2分。
道工陣45ydからの北星OFF。1stダウンの更新はチームの敗戦を意味するこの状況。ランで時間を使い、ジリジリと前進する北星OFF。タイムアウトを使い、時間の消費を最小限に抑える道工。迎えた3rdダウン残り5ydのシチュエーションだった。
北星の攻撃はP.A。DL 尾越(#71)がQBに襲い掛かかる。尾越のQBサックでロスタックルに仕留めたのだ。
ディフェンスの奮起で1stダウンの更新は阻止した道工。パントを蹴らせ、最後の攻撃のチャンスを得る。残り時間は1分少々。
ここでQBは垂水(#9)に。道工陣30ydからの道工OFF、垂水(#9)から小野田(#7)へのパスが成功、北星陣に切り込む。
北星陣45yd付近での1stダウン、垂水(#9)の手からロングパスが放たれる。逆転を賭けた伊藤(#12)へのロングパスはあと一歩のところで届かない。観客席からは大きなため息が漏れた。翌2ndダウンのパスも失敗。迎えた3rdダウンだった。畠山(#25)めがけて投げられたパスは相手CBの胸元へ飛び込んだ。インターセプトである。
ここで事実上のジ・エンド。ニーダウンで時間を消費され、北星ベンチからは無常のカウントダウンが聞こえてくる。
道工 7−10 北星 道工、秋のリーグ開幕2連敗を喫してしまった。
歓喜に沸く北星ベンチに対し、無言でフィールドを去る道工。両チームの試合後の風景は見ていて何とも痛々しい。夕日を背負っての試合後のハドルは、いつもよりもとても長く感じた。 |
|
 |
| 「初戦を落としてから、北星戦に向けて心を入れ替えて取り組んできました。しかしそれは取り組んできた(つもり)だったのだと思います。甘かった。今試合、キックリターンTD等、良かった部分はありますが、結果として表れてきたことが全てです。残りは3試合。前を向いて、まずは次戦の学園戦に向け、全力投球するのみです。」 |
| 主将 安藤(#6) |
「春、敗戦を喫しているチームだったのに選手たちには変な余裕、奢りがあったのかもしれない。もっと必死にやらなくてはいけなかった。かっこいい試合では無く、泥臭くてもいい、勝てる試合をしなくてはいけない。」
|
| ヘッドコーチ兼オフェンスコーチ 鈴木健之 |
「細かい反省は数えたらキリがありません。大きな反省としてはディフェンスで時間を使いすぎてしまったことが問題だと思われる。数字だけ見ると、被1
TD‐1 FGだが、結果勝てる可能性を少なくしてしまっている。これではダメ。各個人、自分の役割をきっちりこなし、次の試合にはチームとして結果を出して欲しい。」 |
| ディフェンスコーチ 相馬徹平 |
「今試合、目標だったリターンTDを取れたことはとても評価している。自信を持って良い部分だと思う。しかし結果が全て。キッキングもまだまだ粗末な部分が沢山あるので長所を伸ばしつつ、細かい修正点もしっかり補って行きたいと思う。」 |
| キッキングコーチ 高橋優和 |
「選手は最後まで諦めずに戦ってくれた。監督としてベンチに入りながらゲームの流れを変えられなかった。チーム全体にここ数年の結果から生まれた油断があった。今までの試合、いつも拮抗した実力の状況の中で、ギリギリの勝負をつかんできたはず。当たり前に勝てる試合など無いことを改めて痛感した。しかし逆に言えばこれからの試合の中にも勝つチャンスはいくらでもあると思う。上位チームに対しても臆することなくチャレンジャーに徹して番狂わせを演じたい。決して不可能ではない。」 |
| 監督 高幡昌宏 |
|
 |
「北海道王座」…。‘04 MAD WOLVESが掲げてきた目標は、事実この2敗で途絶えることになる。敗戦に下を向き、無言で競技場を後にする選手たちの姿が目に焼きついて離れない。
このままで終っていいのだろうか?目標が途絶えてしまった今シーズン。しかし、残酷にも残りの試合は必ず自分たちのところにやってくるのである。
残酷な現実に直面したとき、人は必ず逃げ出したくなるものである。
目標がなくなった今、ただこのまま強者に喰われていくのか、前進して戦うことを選ぶのか。選ぶのは選手たちである。
「窮鼠 猫を噛む」…。 少なくとも後者であって欲しい。と願う私がいる。
残されたことはまだまだあるはずだ。牙を折られた狼たちよ、このままで終るのはよそう。
逃げるな。戦おう。自分たちのプライドのため、そして応援し続けてくれる皆様のためにも…。 |
| (高橋優和) |
|
|