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あの不甲斐ない試合から1週間が過ぎた。この1週間、どのように練習に取り組んできたのだろうか。変わるのは選手達であり、変われるのは選手次第なのである。

選手たちは10時のキックオフを目前に、黙々とアップをこなしている。春のオープン戦、最後の試合となるこの試合に、選手たちは気合十分だった。

この日の対戦校は北海道大学ビックグリーン(以降北大と略します)。言わずと知れた強豪校であり、北海道の全大学が目指す、最大のライバルであろう。

試合会場は道工大グランド。この日の天候は晴れのちくもり。時折、心地よいかぜがグランドを吹き抜ける。暑からず、寒からず。アメフト日和と言っても良いくらいの天気だった。

グランド練習終了後、ベンチに集まる両校。

「いつも通り、いつも通りのプレーをしよう。最後まで自分たちのやるべきことをきっちりやろう。」

選手たちに、落ち着いて語りかけるように話したのは主将の尾越(#71)。選手たちは目を閉じて精神統一をする。

「よし!いくぞ!!」の掛け声で選手たちは大きな声をあげると共に、サイドラインに整列した。

道工大、春のオープン戦最終戦となる北大戦がまさに、始まろうとしていた。
第1Q。モメンタムを先につかんだのは…

コイントスに勝ったのは北大。前半リターンをチョイスしたため、道工のキックから試合開始。キッカーは澤田(#29)。北大は自陣35yd付近からの攻撃開始となった。

立ち上がりの北大OFF。予想通り、ショットガン体型での攻撃。立ち上がり、ランプレーを2つ重ねての迎えた3rdダウン。あっさりとパスを通されて簡単に1stダウンを更新されてしまう。

「いつも通り、このままズルズルと終わってしまうのだろうか…」。この不安をかき消したのは、4年生の活躍だった。

直後の1stダウン、北大のパスはRBにヒット、と思われた瞬間だった。

CBに入っていた高野名(#84)がボールを持った相手WRの肘めがけて、好タックルというか、巧タックル。これにより、ボールはWRの肘からこぼれ落ちた。フィールドを転がるボール。リカバーしたのはDL蝦名(#69)。このファンブルリカバーにより、道工は北大陣45ydからの攻撃権をもぎ取ることとなる。思わぬ先制のチャンスに、湧き上がる道工大。先制に結び付けたい。

突然のチャンスに、慌てることなく道工OFFをまとめたのはQB垂水(#9)。まずはRB澤田のランを2回重ね、1stダウンを更新。続くプレーではRB安保(#46)にボールを渡し、これも1stダウンを更新した。ボールは一気に北大陣15yd付近まで運ばれる。

澤田のラン、高野名へのパスは失敗。迎えた3rdダウン残り7ydだった。

QB垂水から手渡されたボールを持ち、左サイドを駆け上がったのはRB安保。笛と同時にあがったのは、審判の両手と、道工サイドの歓声だった。

道工 7−0 北大   先制は道工。この勢いを追加点につなげたい。

道工のキックで試合再開。北大は、北大陣40yd付近までボールを進めての1stダウン。

ここでパッとしないのが道工DEFなのだが、リズムに乗り切れない北大OFFは罰退も重なり、1stダウンの更新が出来ない。結局北大はパントを蹴ることに、しかしこれがミスキック。道工は自陣45yd付近からの攻撃開始となり、追加点のチャンスが転がり込んでくることになる。

ながれの止まらない道工OFFはTE山田(#5)へのパス、RB澤田のランが効果的に決まり、1stダウンを重ねていった。ボールは北大陣20yd付近へ。

ここでQB垂水はパスをチョイス。北大DB2人に囲まれたWR高野名の胸に、ボールは吸い込まれ、追加点…と思ったのもつかの間、ボールはフィールドへと落ちてしまうのであった。パス失敗である。結局、大きなゲインも出来ずに、4thダウンを迎えてしまった道工OFF。フィールドゴールを選択。

距離にして、約35ydのフィールドゴールキック。キッカーは澤田。しかし、これを外してしまい、追加点には至らなかった。

北大の自陣20ydからの攻撃中、クォータータイムを知らせる笛が鳴り響いた。試合は第2Qへと突入していくのである…。
第2Qの攻防、道工は追加点を取れるのだろうか…

パスを通されたものの、CB久保(#27)の懸命のタックルで1stダウンの更新を許さなかった道工DEF。北大にパントを蹴らせ、道工のOFFが北大陣40yd付近から始まった。

第2Q、最初のOFFの司令塔は、3年のQB田中(#13)。RB澤田(#29)のランで1stダウンを更新したものの、この後が続かなかった。

垂水(#9)の、今日初めてのパントキック。前回の樽商戦は不発だったパントキックだが、この日は違った。

垂水の蹴ったパントキックは、逆風にもかかわらず綺麗なスパイラルを描き、北大陣の領空を飛んでいく。ぐんぐん距離を伸ばすパントキックは、失速することなくエンドゾーンを越えてしまい、タッチバックに。北大は自陣20ydの攻撃を強いられてしまう。

北大の攻撃、ここでついに北大の反撃が始まってしまう。

1バック体型からのダイブ、ブラストで簡単にFRESHを更新。この後、ショットガン体型でパスを成功させ、テンポ良く1stダウンを更新させていく北大OFF。流れは北大に傾き始めていた。ここで、またしてもあの男が流れを変えることとなる。

翌2ndダウン、パス成功かと思われた瞬間だった。

歓声が上がったのは道工ベンチ。このパスをCBに入っていた高野名(#84)がインターセプトに仕留めていたのだった。このインターセプトにより、道工は北大陣45ydからの攻撃をもぎ取ることとなり、北大に傾きかけていたモメンタムは、一気に道工へと流れ始めていく事となる。

そして2ndダウン。中央突破で飛び出したのはRB立花(#22)。タックラーをスティフアームでかわしそのままエンドゾーンへ駆け込んだ。

第2Q、先に得点を挙げたのは道工。このRB立花の45ydタッチダウンにより、

道工 14−0 北大   道工、追加点を挙げ、北大を突き放す。

残り時間は3分弱、北大は自陣30ydからの攻撃を再開。後半に向け、1本でも返しておきたい北大は、4thダウン残りインチの局面を迎えることとなる

北大の体型はプロI体型。ギャンブルとなり、フィールドに緊張が走る。

レディーコールと共にスナップされたボールを、なんとエクスチェンジミス。ボールを拾い、オープンに逃げようとしたQBをDL蝦名(#69)とLB山田(#5)ががっちりとロスタックルにしとめ、ターンオーバー。道工は、北大陣40ydからの攻撃を奪い取る。

のこり2分弱、道工OFFはFRESHを更新するものの、タッチダウンには至らなかった。

WR高野名に向けて投げられたパスは、成功せず、ここで前半終了。

道工 14−0 北大   道工、前半をリードで折り返す事となった。

「勝った気でいるなよ!!後半もどんどん点獲って!絶対勝とう!!」

ハドルでは主将の尾越が選手たちを叱咤する。そう、相手は北大。この位の点差は簡単に同点、逆転へと持っていけるのである。

選手たちは北大の猛攻に備え、黙々とベンチでアップ、ストレッチ等を繰り返していた。

今回も沢山の方々が試合にかけつけて下さいました

今回の北大戦も、樽商戦に続き沢山の方が応援に駆けつけてくださいました。本当にありがとうございました!!

春のオープン戦はこれで終わりですが、今後、秋まで夏合宿、そして東北工大との定期戦等、いろいろありますので、皆さん是非グランドに足を運んでください。よろしくお願いいたします。

後半開始の第3Q、止まらない道工の攻撃は…

道工のリターンで後半再会。高野名(#84)のリターンは大きなゲインは出来ず、自陣25yd付近からの道工OFFが開始された。

ここから道工は驚異的なタイムコントロールを見せることとなる。ランプレーが止まらない。RB安保(#46)、澤田(#29)のランプレーでじっくり時間を使い、道工陣25ydから、35yd、50yd、北大陣40yd。どんどんボールを進めていく道工OFF。これにWR高野名へのパスも効果的に決まり、気づけばボールは北大陣30yd、第3Q残り時間は約4分少々にまでなっていた。

このままタッチダウンへとつなげたい道工は、ランを3回続けたものの、1stダウンの更新には至らず、4thダウン残り4ydの局面を迎えてしまう。しかし、勢いに乗る道工はギャンブルを選択。このシリーズ、QBに入っていた田中(#13)からRB立花(#22)にボールは手渡された。

しかし、これを北大DEFががっちりタックル。結局、1stダウンの更新には至らず、ターンオーバー。道工、追加点をあげることは出来なかった。

北大陣25ydからの北大OFF。精彩を欠く北大OFFは、ここも思うようにボールを進めることが出来ない。あっさりとパントを蹴り、攻撃権を放棄。道工は50yd付近からの攻撃を再開することに。

QBは田中から垂水(#9)に交代、ここからタッチダウンへとつなげたかった道工OFFだったが、ここで北大DEFが奮起する。

1stダウンで道工のプレイアクションパスをQBサックに仕留めると、この後の攻撃も完封。道工も簡単に攻撃権を放棄してしまうことに。しかし、ここでも垂水の好パントが飛び出し、道工は北大陣10ydからのDEFを開始することとなった。この試合、常に良いフィールドポジションで戦うことが出来ている。

垂水の好パントに応えるかのように、道工のDEFが奮起。主将DL尾越(#71)のQBサックもあり、ここも3rd down outで相手にFRESHの更新を許さない。

4thダウンのパント。ここで北大にミスが起こってしまう。

スナッパーから放たれたボールは、パンターの頭上を大きく超えてしまう。何とかボールを拾い、蹴り出したものの、ボールは真横に転がってしまい陣地は全く回復できなかった。

道工は北大陣10ydからという、願ってもない追加点のチャンスが転がり込んでくることとなる。

これを何とか得点につなげたい道工。RB立花、そしてRBに入っていた高野名へとランを重ね、4thダウン残り2ydの局面を迎えることとなる。そしてここで、クォータータイムを知らせる笛が鳴った。試合は最終第4Qへと続いていくのであった。

勢いに乗る道工大。北大戦初勝利は目前…

むかえた4thダウン残り2yd。道工はギャンブルをチョイス。引き離しにかかるつもりだ。

QB垂水の選択したプレーは、RB高野名(#84)へのパスだった。これを受け取った高野名は、右サイドを駆け上がり、タッチダウン。高野名はエンドゾーンで小さくガッツポーズ。集まってくる選手たちを待ち受けた。

道工 21−0 北大   しかし、手放しで喜べない点差。相手は北大なのである。

道工のキックで試合再開。しかし、これをタックルミスも重なり、北大に50yd付近からの攻撃を開始させてしまう。

これを得点に繋げたい北大OFF、しかし、交代違反等で思うように攻撃を出来ないでいる。これに付け込み、道工DEFにビックプレーが転がり込んでくるのだった。

2ndダウン残り15ydのシチュエーション。北大はパスを選択。これを受け取ったのはDBの畠山(#25)だった。

畠山のインターセプトにより、道工は北大陣45ydからの攻撃を奪取。駄目押しのタッチダウンに繋げたい。

その気持ちとは裏腹に、ランを北大DEFに完封されてしまった道工OFF。あっさり攻撃権を放棄することに。北大は自陣20ydからの攻撃を開始することとなる。

翌北大OFF。パスを3つ続けたものの、ここでも反則、DB高野名の好カット等があり、ここも3回の攻撃で相手を退かせることに。ここのパントキックでもまた、北大に大きなミスが起こってしまう。

またもパンターの頭上を大きく超えていくスナップ。エンドゾーンを転々とするボールを、パンターはやむなくエンドラインの外へと蹴り出してしまう。セーフティーである。

道工 23−0 北大   思わぬ追加点、道工に勝利が傾き始める。残り時間は6分弱。

北大のキックで試合再開。このキックが左のサイドラインをわってしまい、道工は50yd付近から攻撃を始めることとなる。

ランで時間を潰す道工OFFだったが、1stダウンを更新するまでには至らず、パントキック。ここも垂水(#9)の好キックにより、北大は自陣15yd付近からの攻撃を強いられてしまう。

ここで道工守備の弱点となる、DB陣が攻められてしまった。

簡単にパスを通されてしまい、ボールを簡単に前にと運ばれてしまう。残り時間は少なくなってはいくものの、道工サイドには「逆転されるかも」といったプレッシャーが襲い掛かる。

この不安を断ち切ったのは、2年生DB、神山(#34)だった。

北大QBの放ったロングパスを、DB神山ががっちりキャッチ。このインターセプトにより、道工はターンオーバー。北大陣30yd付近からの攻撃をもぎ取ったのである。残り時間は3分弱。

この道工OFF。1stダウンの更新には至らなかったものの、4thダウンでフィールドゴールを選択。キッカーは垂水。

約47ydのフィールドゴールトライ。ボールはゴールバー手前で失速してしまう。追加点には至らなかった。

北大陣30ydからの北大OFF。北大は反則で罰退させられたものの、その後、ロングパスを決められて、ボールは一気に道工陣40yd付近まで。迎えた3rdダウン、ここでDLの蝦名が相手に引導を渡すビックプレーを生むこととなる。

相手OLを抜き去り、QBに襲い掛かった。QBサックである。この次の4thダウン、北大はギャンブルを敢行。しかし、このプレーもDL蝦名はQBサックに仕留めあげたのだ。右手を高々と上げ、サイドラインの歓声に応える蝦名。このターンオーバーにより、道工の勝利は確定。ランプレーを3つ重ねたところで試合終了の笛がフィールドに鳴り響いた。

道工 23−0 北大   実に公式戦、初となる北大からの勝ち星をあげた瞬間だった。

サイドラインに帰ってくる選手たち、その顔に笑顔はない。選手たちはわかっている。

ベンチに礼をし、見に来てくださった父母、OBの方々に礼をして選手たちは試合後のストレッチに向かった。その顔にも、やはり笑顔はなかった。

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「春からこれまで取り組んできたことが集約された、いいゲームだったといえると思います。しかしまだまだ。現状に満足することなく、常に上を目指して秋までやっていかなければならないです。」
OFFキャプテン  高野名 航
「3試合目にして最低限のことはようやく出来るようになった。前回の試合とは違い、全員でプレーを止めようという意思が見られたのは、秋につながるいいプレーだったと思います。しかし、満足は出来なかった事は、自分たちが一番身に染みてわかっていると思います。秋に向け、まだまだやらなければならないことは山積みです。」
DEFキャプテン  佐藤 洋
「練習時間が少ない中、きっちり集中してよくやってくれたと思います。ただ、直さなければならないところは沢山あり、秋までの時間も少ない。1日1日集中して、練習に取り組んで行きたい。」
KICKキャプテン  安保 圭介
「樽商戦の反省を活かし、みんなの練習に臨む姿勢が変わったことが、試合中のプレーに出たと思います。秋のためには夏の練習が勝敗の鍵、気を引き締めて練習に取り組みたいと思います。」
主将  尾越 仁壽
「まず勝ったことは素晴らしい事。これまで勝ったことの無い相手に勝てたということを評価してあげたい。しかし、選手たちも馬鹿ではないのでわかっていると思うが、これでやっとスタートラインに立てた、秋に北大と戦う権利を得た。ということを自覚してほしい。まだまだこれから。秋に向けてやらなければならないことは沢山あるので、消化不良をおこさずに一つ一つやっていってもらいたい。」
監督  高橋 優和
春のオープン戦、2勝1敗で終えた‘05 MAD WOLVES…

こうして春のオープン戦を2勝1敗で終えたMAD WOLVES。勝ち越したものの、結果は散々。課題も多く見つかったオープン戦となった。

秋のリーグ、開幕は8月末。開幕戦までは残り約2ヶ月といったところだろうか。

この短い期間で秋に備え、いや、北海道リーグ優勝に備え、準備をして行かなければならない。

長いようで短いのがこの2ヶ月間。どのチームにも同じように流れるこの時間を、充実したものに出来たチームのみが勝ち、パインボウル、シトロンボウルへと進むことが出来るのである。

残された時間は本当に短い。

午後の日差しに、ゆっくりと雲が流れる。7月の始まりだった。

(高橋優和)
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